効率的な洗浄とは

効率的な洗浄に必要な4大要素

洗浄は「科学力」「物理力」「時間」「温度」の4つの要素で効率的に洗浄できます。
  • 化学力   油汚れを落とす洗剤の力
  • 物理力   スポンジで擦る力、水道水の水圧
  • 温 度   お湯
  • 時 間   漬け置き、長い時間をかけて洗う
この「洗浄の4大要素」をうまく活用すれば、洗浄も効率化できます。

効率的な洗浄に必要な4大要素:化学力(洗浄剤)

食品調理現場での汚れを分類すると、有機物と無機物の汚れに大別できます。有機物の汚れとしては食品残渣などに含まれる、でんぷん・タンパク質・油脂などがあげられます。無機物の汚れとしてはカルシウム、マグネシウム、鉄分、土壌成分などがあります。一般的に酸性洗剤は無機物の汚れに適しており、逆に有機物の汚れに対してはアルカリ洗剤の方が適しています。

効率的な洗浄に必要な4大要素:物理力

水圧や擦る力、削ったり磨いたりする力です。物理力が強いほど洗浄の効果はありますが、必要以上の物理力によって器具や食器をキズ付けることになります。素材にあった洗浄ツールを使用し、他の要素を加えた洗浄が肝要です。

効率的な洗浄に必要な4大要素:温度

例えば個体油脂(ラードなど)については、70~80℃に加熱すると油脂が溶けて落としやすくなりますが、タンパク質(タマゴなど)は 70~80℃に加熱するとタンパク質が変性して洗浄対象物に付着し、落としにくくなります。この場合、油脂が溶け易くタンパク質が固まらない温度領域 40~50℃にて洗浄を行うことが望ましくなります。

効率的な洗浄に必要な4大要素:時間

洗浄に時間を多く費やせば洗浄度は上がります。しかしながらそれは現実的ではありません。汚れの付着した食器などを洗浄前に浸漬するなど、時間をうまく使うことが効率的な洗浄を実現します。

食器洗いがスムーズなのはどちら?

Aさん、Bさんがお昼に酢豚を食べました。
食べ終わってすぐ洗うAさんの場合は、水道水をかけるだけで簡単に汚れは落ちます。これは水道の流れる水圧の力です。
あとは洗剤で油汚れだけ落とせばきれいになり、短時間で終えられます。
Bさんは時間が経ってから洗います。水道水だけではなかなか落ちません。お湯を使うか、もしくは水に漬けて時間を置いて洗うので洗浄にかかる時間がトータルで長くなります。

洗浄ツールだけで考えない

キッチンスポンジやたわしなど、洗浄ツールそのもので汚れを落とすという発想を変えることをお薦めします。例えばコゲ。コゲにも様々な種類があります。一例として、五徳周辺に付いているコゲ。吹きこぼれた有機物に熱が加わり炭化したものが多いと思われます。油がしみ込み、こびり付いていることもあります。こういったコゲは、研磨粒子が入ったコゲ落としで擦り落とすといった事例を多く見ます。しかし、これは時間のかかる作業であるとともに、器物をキズつけることにもなります。アルカリ性の洗剤を噴霧し、ある程度の時間をおけば手軽に洗浄できます。